2011年2月28日月曜日

最近の若者は内向きになったか?

「最近の若者は海外留学をしなくなった」「内向きだ」などと、世間では盛んに言われていますが、実際はそんなこともないんじゃないですかね。

我々が大学院生だった1990年代末から2000年頃に比べれば、日本にいても「いい研究」ができる状況になったのは確かだと思いますが、一方で、最近では海外で独立する日本人若手研究者も増えているし、本当のところは若者全部が「内向きになった」んじゃなくて、「内向きと海外志向の二極分化がはっきりしてきた」ということなんだと思います。

私自身に関して言えば、海外で研究したことは、残りの一生を変えるであろうくらいに大きな経験になっています。カルロス・ゴーンは著書の中で留学の必要性について「彼らは海外で違う文化を学び、自分自身が実りある人間になるため、成長するために海外にいくのです。自国でも成長できるけれど、他国にいくほどは成長はできません」(『ゴーン道場』朝日新書)と言っていますが、私も全くその通りだと思います。

2011年2月27日日曜日

吹奏楽コンクール課題曲の思い出

佐渡裕指揮のシエナ・ウインド・オーケストラのCDに、保科洋の「風紋」が入ったものがありますが、この曲、1987年の全日本吹奏楽コンクール課題曲の一つでした。

当時中学生だった私も、旋律がきれいですごくいい曲だなと思ったものですが、やはり歴史に残りましたね。吹奏楽コンクールの課題曲って、その年限りで消費されてしまう曲がほとんどな中で、多くの人に愛されて演奏会のレパートリーの中に残る、というのは極めて稀な例な気がします(研究論文と同じ運命??)。YouTubeにも浜松商業の演奏がアップロードされていますが、最初の4小節の前奏を聴いただけでも、懐かしさと美しさで鳥肌がたちます。

それから私が「風紋」と同じくらい好きな曲に、三善晃の「深層の祭」(1988年)があります。これはさすが三善晃というか、課題曲とは思えない曲の完成度と難易度ですね。「ハルサイ」っぽくて、当時から現代音楽好きな私にはたまらないものがありました。

2011年2月26日土曜日

NI社BNC-2090のアナログ入力モード

...にはDIFF(差動)、RSE(基準化シングルエンド)、NRSE(非基準化シングルエンド)の3つがあって、マニュアルを読んだだけでは、どのモードで使ったらいいのか若干わかりにくいです。

NI社で公開している補足ウェブページには、ユーザーマニュアルに載っていない有用な情報が載っています。ターミナルストリップのGNDはAIGNDと違うとか、DIFFモードではai0-7のコネクタの外側がai8-15のコネクタの内側と内部接続されるとか、ああ、そうだったのかという感じです。

(後記)グラウンドの取り方がよくわからなければ、差動モードを使うのが無難かもしれません。入力できるチャンネル数は半減しますが、何に対して測定しているのかを把握するのが容易になります。

2011年2月24日木曜日

裁縫機械のこと

嫁がミシンを欲しいらしく、機種や値段をネットで比較しているのを端で見てて、ふと思ったんですが、一般に、カメラとか車とかコンピュータとか「機械モノ」に関しては男性の方が詳しいとされている世の中で、ミシンほど女性ユーザーの割合が多い機械はないんじゃないでしょうか。

その生きた証拠と言っちゃなんですが、私はミシンについて今までほとんど何にも知りませんでした。よくよく見ると、その仕組みはかなりメカニカルで、コンピュータ制御で複雑な刺繍ができるものなんかもあって、かなりマニア心をくすぐるものなんですけどね。

ミシンメーカーのJUKIのホームページには、Webミシン博物館なんてコーナーもあります。男性でミシンを自在に使えたら、格好いいかもしれませんね。

ミシンと文学で思い出すのは「彼は十七歳と四ヶ月だ!(中略)そしてなによりも、解剖台の上のミシンとこうもり傘の偶然の出会いほど美しい!」という、ロートレアモン伯爵の『マルドロールの歌』からの一節です。シュルレアリストたちに多大な影響を与えたこの作品は、寺山修司のお気に入りでした。

2011年2月23日水曜日

赤外線フィルターについて

実験で近赤外のロングパスフィルターが必要なとき、用途によっては富士フィルムのIRシリーズなどで代用すると安く上がることがあります。カットオフの波長も20nm刻みで11種類そろっていて、ハサミで好きな形に切れます。

顕微鏡用にはさすがに難しいけど、USBカメラでちょっとした赤外線撮影をしたいときなどに便利です。個々のフィルターの特性が掲載されたハンドブックもダウンロードできます。

2011年2月22日火曜日

神は細部に宿る

「実験は小さな技術的改良の積み重ね」とは、私がアメリカで学んだ研究態度です。装置に確実に動作しない部分がちょっとでもあると、全体の精度と信頼性が上がらず、実験に多大なストレスが伴います。そういう問題は一つずつ地道に解決していくしかありません。

2011年2月21日月曜日

お金の使いみち

もう年度末ということで、残りの予算の使いみちを気にするところですが、研究でも普段の生活でも、もっているお金をどのように使うか(何を買うか)というのは、その人をよく表すような気がしますね。

2011年2月20日日曜日

タフなネゴシエーターたち

最近、いろんな業界のプロの営業の人たちと話す機会が増えたんですが、百戦錬磨の彼らの話術というのは非常に手強いですね。なんだか超能力対決というか、勉強になります。

2011年2月19日土曜日

研究お役立ちサイト その2

電子部品の通販は秋月もいいですね。RSコンポーネンツより泥臭い感じがいいかも。ホームページ見て思わずニヤリとしません?

2011年2月17日木曜日

二光子顕微鏡用レーザー比較 その後

コヒレントからChameleon Vision-Sという新製品が出ましたね。パルス幅が75fsとVision IIよりも大幅に短縮されました(その代わりに、平均出力が下がり、波長可変領域が狭くなっていますが・・・)。

Spectra-PhysicsのMai Tai eHP Deepseeをかなり意識した製品のように思えます。

仕事時間の「質」

昨日は慌ただしくバタバタしたわりに、実りの少ない日でした。

研究者が「真面目に」実験しようと思うと、1日数時間(例えば最低でも3時間、できれば5-6時間)の時間を確保しなくてはいけません。しかも、失敗を避けるために精神的に集中して実験するには、その時間が中断や邪魔の入らない「純粋な時間」である必要があります。なのに、現実にはこういう良質の時間を確保するのが難しい場合があります。困ったことです。

事務職や管理職ならば、たとえ時間が細切れになったとしても、そこそこ仕事ができると思うんですけどね。研究者の場合、日中に電話や来客や会議や急用があると、それがほんの短い時間であっても、一日が台無しになってしまうことがあります。生産性を上げようと思ったら、そういう事態は極力避けなければいけません。

2011年2月15日火曜日

論文2/15/11

Nature Methods
Simultaneous two-photon calcium imaging at different depths with spatiotemporal multiplexing
Adrian Cheng et al.

PNAS
Roller Coaster Scanning reveals spontaneous triggering of dendritic spikes in CA1 interneuronsGergely Katona, Attila Kaszás, Gergely F. Turi, Norbert Hájos, Gábor Tamás, E. Sylvester Vizi, and Balázs Rózsa

Frontiers in Systems Neuroscience
Visual Tuning Properties of Genetically Identified Layer 2/3 Neuronal Types in the Primary Visual Cortex of Cre-Transgenic Mice
Hatim Zariwala, Linda Madisen, Kurt Ahrens, Amy Bernard, Edward Lein, Allan Jones, Hongkui Zeng

J Neurophys
Regression-Based Identification of Behavior-Encoding Neurons During Large-Scale Optical Imaging of Neural Activity at Cellular ResolutionAndrew Miri, Kayvon Daie, Rebecca D. Burdine, Emre Aksay, and David W. Tank

Nature
Functional identification of an aggression locus in the mouse
hypothalamus
Dayu Lin, Maureen P. Boyle, Piotr Dollar, Hyosang Lee, E. S. Lein et al.

Distinct physiological and behavioural functions for parental
alleles of imprinted Grb10
Alastair S. Garfield, Michael Cowley, Florentia M. Smith, Kim Moorwood,
Joanne E. Stewart-Cox et al.

Nature Neuroscience
A wireless multi-channel neural amplifier for freely moving animals
Tobi A Szuts, Vitaliy Fadeyev, Sergei Kachiguine, Alexander Sher,
Matthew V Grivich, Margarida Agrochao, Pawel Hottowy, Wladyslaw Dabrowski,
Evgueniy V Lubenov, Athanassios G Siapas, Naoshige Uchida, Alan M Litke
and Markus Meister

J Neurosci
Gateways of Ventral and Dorsal Streams in Mouse Visual Cortex
Quanxin Wang, Enquan Gao, and Andreas Burkhalter

2011年2月14日月曜日

革命いまむかし

エジプトの「革命」、すごいですね。

同じ独裁政権打倒でも、1950年代後半にカストロとゲバラがキューバのバティスタ政権を倒したときには、「革命」といえばゲリラ戦でした。今はFacebookの呼びかけによって、デモが組織化される時代です。いや、改めてネットの威力というのはすごい。

エジプトの民衆が、革命後の暮らしに失望することがないように祈りたいですね。そういえば日本でも、民主党による政権交代って、当時としては「革命的な」出来事でした。ほんの1年半前のことです。

2011年2月13日日曜日

東京杉並散歩

今日はちょっとワケあって、杉並の方南町界隈をぶらぶらする時間があったんですが、お昼に入った「手しおごはん 玄」というお店は、なかなか良かったです。中野と杉並にいくつかお店があるみたいですね。

それともう一つ気になったお店は、生地にそば粉を使った「そばたいやき」のお店です。今度行ったときチェックしてみます。次回は夏くらいかな。

2011年2月12日土曜日

そういえば先日、編集部の方から・・・

『実験医学』誌に掲載された小文が、オンライン公開されていると教えていただきました。リンクはこちらです。

2011年2月11日金曜日

2011年2月10日木曜日

重要な問題に至る道

「私の製作が経た経験を通らない人たちによって私の製作は判断される。生徒が数学を学ぶように、一歩一歩、私は自分の芸術を学んだ。たくさんの小さな問題を解いた後にやっと重要な問題を解いたのです。私を攻撃する前に彼らも同じ道を通り越して来べきです。そうすれば彼らの意見は違ってくるだろうと思う。違った目で物を見るようになろう。」(ロダン)

2011年2月9日水曜日

動物の訓練に関する哲学的考察

ふと、自分が動物を訓練しているのか、それともホントは動物が自分を訓練しているのか、わからなくなることってありません??

2011年2月8日火曜日

レンズペーパー

好きなのはTiffenのものですね。柔らかくていい感じです。

最近の対物レンズは車が買えるほどの値段の高額なものもあるので、実験の後にはきちんとクリーニングして長く使いたいものです。レンズの手入れの仕方は、オリンパスのホームページに詳しく解説されています。

2011年2月7日月曜日

すべての営みには時がある

"There is a time for everything and a season for every activity under heaven"

「天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある」(聖書)

2011年2月6日日曜日

銀河鉄道の夜

週末はちょっとした用事で妻と長野に行ってきました。

夜に家を出発し、長野から松本方面行きの篠ノ井線の普通列車に乗ると、姨捨駅へと近づくにつれて線路は高度を増して行くのですが、そのときに車窓から見える家々の明かりや街路灯がまるで星のように見えて、さながら銀河鉄道に乗っているかのような幻想的な感覚が味わえます。車両の座席もボックスシートなので、気分はジョバンニか鉄郎ですね。さすがに車掌さんは透明人間じゃなかったけど、姨捨山から眼下に見える長野盆地の夜景は絶景です。

夜空をいろどる星々の一つ一つが異なっているように、窓から見える家の灯りの一つ一つも、そこにはそれぞれ違った家庭の生活があるんだと考えると、これって当たり前のことなんだけど、なんだかすごいことじゃないですか?

2011年2月4日金曜日

素晴らしき研究者

Paul Grahamの『ハッカーと画家』(Hackers and Painters: Big Ideas from the Computer Age)という本の最後の章「素晴らしきハッカー(Great Hackers)」 には、飛び抜けて優れたプログラマ(”ハッカー”)の特徴が述べられていますが、優れたプログラマと優れた研究者は、同じとは言わないまでも、仕事に「特殊な集中力を必要とする」点では、結構似ているんじゃないでしょうか。

特徴の一つに、仕事場についての考え方があるんですが、彼はこう述べています。

「私の知っているハッカーは皆ブース(=オフィスでパーティションで区切られた自分の机(筆者注))を嫌っている。考えを中断されるかもしれないという可能性だけで、難しい問題を考えようという気がおこらなくなる。仕切りだけのオフィスでまともな仕事をしようと思うなら、選択肢は2つしかない。家で働くか、早朝、深夜、週末といった時間外で誰もいないときに出社するかだ。会社は、プログラマがそういうことをしだしたら、それが何かおかしいサインだと気付かないんだろうか。オフィス環境というのは、その中で仕事をするためのものであって、そういう環境にもかかわらず仕事をする、というものじゃないはずだ。」

他にもいろいろ引用したいところは多いですね。

「ハッカーは、良い道具とともに、面白いプロジェクトを欲する。」


「本当に優秀なハッカーは自己管理がちゃんとできる。本当の問題は、もしあなたがハッカーでなかったとしたら、誰が良いハッカーかを知ることができないということだ。」


「良いハッカーが好むのは、ほかの良いハッカーだ。素晴らしいハッカーは寄り集まる傾向がある。」


「良いハッカーになる鍵は、たぶん、自分がやりたいことをやることだ。私が知っている素晴らしいハッカーを考えてみると、彼らに共通することのひとつは、彼らが自分から望まないことをやらせるのは極めて難しいだろうということだ。これが原因なのか、結果なのかは定かではない。もしかすると両方かもしれない。」

いや、きりがないですね。興味がある人は、本を読んでみてください。

2011年2月3日木曜日

論文雑感

論文を読むのは、なんとなく筋トレやってるような感覚に近いものってありませんか?そういえば、著名な研究者であるY御大先生は、かつて著書のなかで「研究者が論文を読むのは主食をとるようなものだ」と書いていた記憶があります。

論文の読み方にも、流し読みするもの(例えば論文の内容の一部分にだけ興味がある場合)から、じっくり読むもの(主に自分の研究に近いもの)までさまざまです。実験の片手間に拾い読みするものから、十分な時間を割き、覚悟を決めて読むものまで、いろいろです。小説の読み方が作品ごとに異なるのと同じですね。

小説もそうですが、どうせ読むなら良いものを読んだ方が、その経験から学ぶことは多いです。良い論文を読むことで得られる情報量というのは、自分自身が手を動かした場合に換算すれば、数日分(場合によっては数週間から数ヶ月)の実験で得られる経験に匹敵することもあるかもしれません。

実際に、すでに世に存在する情報を知らずに、ただやみくもに実験しているだけでは、研究が成功する確率は上がりません。目的地に向かうのに、目印を知らずに彷徨うようなものです。

そして「研究のインスピレーションを得る」というのかな、「読んだ後に自分でも試してみたくなるような新しいアイデアが得られる」というのが「面白い論文」の一つの判断基準かもしれません。逆に言えば、自分が論文を書くときは、読んだ他人が労力を節約できるくらいの質のものは書かなくてはいけません。「他の人が土台にできるような仕事」というのは良い仕事の一つの条件です。

2011年2月2日水曜日

「始めるのだ。そうすればその仕事は完成する」

・・・と、ゲーテは、仕事を完成させる意志の力についての名言を残していますが、日常に忙殺される中で、落ち着いて仕事を仕上げる勇気をもつということは、天才をしてそう言わしめるほど難しいことだと言えます。

上記の言葉をもう少し詳しく引用しておきます。

「今日をだらだらと無為に過ごす…明日も同じこと…
そして次の日はもっとぐずぐずする。
ためらいのひとつひとつが、それぞれの遅れをもたらし、
日々のことを後悔しつつ日々が暮れていく。

おまえは本気でやっているのか?
一瞬考えてみるがいい…思い切りのよさには、
才能と力と魔術が内在する。

ひたすら没頭すれば、心に灯が点る…
始めるのだ。
そうすればその仕事は完成する。」