2010年10月30日土曜日

研究への憧れとエンジニア魂

顕微鏡の方は、現在テストしている新しい検出器はなかなか良いようです。

今日は研究所の見学にきた福島県の高校生にセミナー室で1時間ほど研究の話をしました。その後に彼らが部活動で研究した(自然科学部の生徒さんたちだったので)研究論文のコピーをいただいたのですが、地下水の研究や自然におけるラセン構造の研究など、熱心に研究されていて素晴らしかったです。私も彼ら高校生にとって憧れの対象になるような研究者でありたいと思います。

リクナビNEXTのTech総研というサイトに連載されていた『シブすぎ技術に男泣き』という漫画、今は単行本化されていて一部で人気なようですが、読んでてすごく面白いです。実験でもまさにそうですけど、ものづくりに対するエンジニアのこだわりが良くわかって、めちゃくちゃ笑えます。

2010年10月28日木曜日

思考を習慣化するために

最近、日々の生活に追われてあまり物事を考える時間がとれません。研究者にとって「考える」ことは生命線ですから、これは良くない兆候です。

私はスケジュール管理やメモはオンラインのサービスを利用していて、普段はあまり手書きの手帳を使わない人間なんですが、思考のツールとして手帳やノートをもっと活用するといいのかもしれません。

巨人の肩の上に立つ

バロック期の著名なフルート奏者であり作曲家であるクヴァンツの『フルート奏法試論』という本を読んでいます。すごく有名な本です。

単なる奏法の解説じゃなくて、音楽家の心構えとかが書いてあって面白いです。音楽と演説の類似についても書いてあって、我が意を得たりという感じ。内容の雰囲気は、なんとなく世阿弥の『風姿花伝』を思わせますね。先人がこんなに有益な本を遺しておいてくれたことに感謝です。

2010年10月26日火曜日

プロの技とは何か

夕方、研究所のカフェテリアにいくと、そば・うどんコーナーで、もう初老かと思われる年齢のおじさんがそばを茹でているんですが、私はこの人のことをひそかに尊敬しています。

なにしろ、茹でたそばを丼に移し、きつねやワカメを乗せる動作、それから、できたおそばを「はいっ」とカウンターの上でお客さんに渡す動作がすごいのです。

そこまでしなくてもと思うほど、見る人によっては大げさでありながら、また別の人から見れば一杯のそばに魂を込めているようでもあるんだけど、出来上がったそばは、いかにもうまそうに、ネギとワカメときつねが丼の上できちんと正三角形を形成するように、きれいに盛りつけてあるのである。他の人のように、ごちゃっと盛りつけるのとはワケが違う。

こんなふうに、一見誰がやっても同じような作業において、自分だけにしかできない違いを作りだせるというのは、本当にすごい。プロの技というのは、こういうのを指すんだろう。

2010年10月25日月曜日

もっと光を

今日は職場の創立記念日で休日でした。研究所の建物はメインテナンスのための停電だったので、この週末3連休は仕事のことを忘れて休むことができました。

世間は平日なのに自分は休みという機会はなかなかないので、午前中は銀行に行って、お昼からは靴と服を買いにでかけて、有意義な一日を過ごすことができました。

起業家精神に関するスタンフォード大学の集中講義をまとめた『20歳のときに知っておきたかったこと』(原題What I wish I knew when I was 20)という本は、この手の本では非常に良い本です。著者のティナ・シーリグという人は、もともと大学院で神経科学を学んだ人だそうです。

とはいっても、この本は著者が神経科学出身だから良い本というわけではなくて、ぼくにとっては個人的に、この本を読むとサンフランシスコに住んでたときに時々訪れたスタンフォード大学やシリコンバレーの自由で開放的な雰囲気が思い出されるというか、書かれていることに「ああ、なるほど」と納得がいくんですね。

そう考えると、日本でああいう「まさに今ここで、新しい技術革新が起こっている」的な、エキサイティングな雰囲気を作り出すのは、なかなか難しそうです。何か違うといわれてもうまく言えないんですが、なんと言うか「明るさ」が足りないですね。

2010年10月24日日曜日

大学院講義をしてきました

先日、城西大学の大学院で『脳の可塑性をイメージングで見る』という、内因性シグナル光学イメージングと二光子レーザ顕微鏡の基礎と応用についての2時間の講義を行いました。

講義は、自分が今までやってきた研究をまとめて振り返るよい機会になりました。学生さんたちもまじめで、良い質問をいくつもしてくれました。

講義内容とは関係ないんですが、同じ日の朝に、この大学のキャンパスでは小栗旬の出演するドラマの撮影があったそうです。私は講義が終わった後、その小栗クンの控え室になっていた小会議室で、昼食のお弁当をいただきました。まぁもちろん、ご本人にお会いしたわけではないんですけどね。

2010年10月22日金曜日

Y社とG社の検索提携に思うこと

Yahoo JAPANの検索がGoogleのサーチエンジンを使うようになって、ひと月くらい前から、2つのサイトで同じ検索の結果が返ってくるようになりました。

検索アルゴリズムによって同じキーワードを入れても違う結果が返ってくるのは、検索エンジンごとの個性を作りだしていたんですが、その多様性が失われるというのは、例えば朝日新聞と読売新聞を開いたら同じ記事が載っているような、拍子抜け感があります。そういう情報の平板化の危険を意識しておかないといけません。

そんなとき、もう一つの選択肢として使えるのは、 今だったらBingなのかな。検索ウインドウの背景写真がきれいなのは好きですね。

2010年10月20日水曜日

『光とともに』

戸部けいこさんという漫画家さんの描いた『光とともに〜自閉症児を抱えて〜』という漫画を(ツタヤで)借りて読んでいますが、これは素晴らしい作品です。以前ドラマになったそうなので、(私はアメリカにいたので知りませんでしたが)ご存知の方も多いかもしれません。
漫画には、若い夫婦に生まれた自閉症の男の子、東光(あずま ひかる)くんの成長が描かれていて、今はちょうど中学校にあがったところまで読み進んだのですが、自閉症の特徴や、患者さんが生活しやすくなる工夫などが細かいところまで描かれていて、この漫画の作者が患者さんとその家族に丁寧に取材したことが、よくわかります。

それから登場人物の描かれ方も丹念ですね。特に主人公の自閉症児の光くんのお友達たちは、ごく自然に光くんの病気のことを理解して、彼の生活の助けになってあげるのですが、その描かれ方がなんというか純粋で、読んでいて感動的です。ああ、子供っていいなと。小さい時から一生続く難しい病気を題材にしながら、漫画全体の雰囲気が明るくて、作者のもつ愛とかと希望とか、そういうものが作品に満ちていますね。

ただ一つ残念なのは、作者の戸部さんが今年病気のために、作品を完結することなく亡くなってしまったことです。でも、おそらく戸部さんはこの漫画を書いていて、幸せだったんじゃないでしょうか。私がもしこの漫画の作者だったら、きっと「自分はこの作品を描くために生まれてきたんだ」ということが信じられたと思います。

お知らせ

Ube3a論文の紹介記事『Ube3a遺伝子による大脳皮質可塑性のゲノム刷り込み』が日本神経科学学会の会報『神経科学ニュース』に掲載されました。よろしければご覧になってください。

2010年10月18日月曜日

研究者の小さな幸福

再び実験に集中できる日々がやってきてハッピーです。11月の学会まで一ヶ月弱。ここでひと山ふた山、越えないといけません。

2010年10月17日日曜日

研究者の労働時間

科研費は一応現状でベストの形になりました。あとは審査員の判断です。

最近は、研究費の応募に関して、いいところまでいきながら落ちているということが多いです。どこか一つ突破すれば事態は好転する気配はあるのですが、その機会がいつどこにあるかわからない。抜け道を探すために壁のいろんなところを丹念に叩いて調べている、という感じです。

最近、研究者の労働時間ということについて考えているのですが、この話題を考えるときに一つの標準?になるのが、バークレーのMMP先生が書いた「あの手紙」のことですね。 成功したければ週60時間、最低でも50時間は働け、と書いてある。

60時間というと12時間/日x5日か10時間/日x6日、50時間なら10時間/日x5日か8時間/日x6日ですね。手紙にはその8時間の内訳について6時間の実験+2時間の研究関連活動(reading含む)と、書いてある。

個人的には、週60時間「毎週」働けるのなら、確かにその人はすごいと思うけど、50時間働くのは普通のように思うな。JSPSが以前調べたアメリカの研究者の労働時間も平均週50時間となってるし。「手紙」は、その脅迫めいた文面のせいで一時期話題になったけど、書いている内容は、それほど驚くべきことではないように思います。

2010年10月16日土曜日

『ふたりの女』

高松宮殿下記念世界文化賞を受賞して来日中のイタリア人女優ソフィア・ローレンですが、今でこそちょっとオバちゃんぽい外見になっていますが、昔、若いころはめちゃくちゃ美人でした。

先日ローマに行く飛行機のなかで見た、ヴィトリオ・デ・シーカの『ふたりの女』という映画にも主演していました。第二次世界大戦下のイタリアで、たくましく生きる女とその娘を描いた映画です。共演のジャン・ポール・ベルモンド(ゴダールの『勝手にしやがれ』主演)が、二人が疎開先で出会う内気で理想主義なインテリ青年を演じていて、それがなかなかいいのですが、この映画のストーリーは、デ・シーカが「戦争の悲惨さを描いた反戦映画」というだけあって、見終わった後、極めて憂鬱になるというか、ショッキングです。あんまり楽しい旅行の目的地に着く前に見るような映画ではありませんが、こういう映画を作るデ・シーカ、やはりただ者ではありません。

ソフィア・ローレンはこの映画の演技で、アカデミー主演女優賞を受賞しています。見れば納得の迫力の演技です。

最近の国際ニュース

チリ落盤事故の33人全員が無事救出されたというニュースは素晴らしいですね。まさに完璧な結果です。誰もが遭遇したことのない非常事態に立ち向かった関係者の努力に、頭が下がります。

ノーベル平和賞授与に関する中国政府のノルウェーに対する対応も大人げないと思うけど、中国の圧力に屈しないノーベル賞委員会とノルウェーの態度は毅然としていますね。船長を釈放した日本政府の対応と対照的です。

2010年10月14日木曜日

極私的独立宣言

科研費書いたり、起業家の書いた本を読んだり、ノーベル賞の報道を見たりした後に、自分の研究を取り巻く状況を振り返ってわかることは、やっぱり本当に自分の個性が出た研究は、独立して自分の研究室をもたないとできない、という至極当たり前のことです。

一般論から言うと、多分30代の半ばくらいで独立するのが、若さと経験のバランスが一番とれているような気がしますが、私はいい歳こいて仕事を出すのが遅いほうなので、とりあえず40歳までに独立することを一つの目標にしたいと思います。そうしたら60歳で研究をやめることになっても20年は研究ができる。20年あったら、いい仕事が一つくらいはできるかもしれません。

私が将来作る研究室は、哺乳類の行動に関わる神経回路機能をin vivoで本格的にイメージングできる研究室です。そのような研究室を確立するには、無数の技術的問題を解決するだけの高い技術力と、その技術で解くべき重要な生物学的疑問を長年の経験のうちに蓄積する必要があります。そのような研究室は、現在の日本ではやっと片手にあまる数のものが立ち上がろうか、という段階です。

しかし、日本で若手で二光子イメージングで独立しようと思ったら、理研とかの大きな研究所で独立する以外に、どこから顕微鏡を買うお金をもらえるのか、非常に謎です。共通機器の顕微鏡で実験するんでしょうかね。

2010年10月11日月曜日

同世代の仕事術

最近読んだ本にサイバーエージェントの藤田晋社長が書いた『藤田晋の仕事学』って本があります。これもブックオフで見つけて買ったものですが、同世代が書いた仕事術の本としてなかなか面白かったです。書いてあることが、自分にとっては読んでて自然に思えるというのかな、文章も上手な人ですね。

2010年10月9日土曜日

ぼやき

科研費なかなか進みません。まる1日かかって半ページしか書けないような私はおかしいんじゃないでしょうか?

書くべきことを考えることはそんなに難しくはないと思うんですが、限られたスペースに、必要なことを、平易に理解できる日本語で十分に表現する、というのがなかなか大変ですね。

2010年10月7日木曜日

カフェで仕事

うちから車で5分くらい行った埼玉県庁の近くに、「ドライブイン」という珍しい店舗形態のスターバックス浦和別所店があります。

車を停められる駐車場があって、お店の中も広くてくつろげるので、なんとなくアメリカの郊外のショッピングセンターにあるスタバに似た感じ(例えばエルセリートプラザ?)なんですが、私は原稿や申請書の締め切り間近になると、気分を変えるためにカフェで仕事をしたくなるので、最近はよくそこのスタバにお世話になっています。

ちなみに朝霞に住んでいたときは、よく朝霞駅西口のデニーズに出没していました。サンフランシスコにいたときは、大学の近くのTart to Tartというカフェ、アメリカに行く前に京都に住んでいたときはミスタードーナツ河原町今出川店でした。これらのお店に払ったお金が合計でいくらくらいになるのか、全く想像もつきません。ひょっとして蔵が建つかもしれません。

2010年10月3日日曜日

作曲家の心理を理解する

昨日はリコーダーのレッスンがありました。テレマンの無伴奏ファンタジー第1番をやったんですが、技術的にまだ曲に追いついていません。

それでもいろいろ学ぶことはあって、例えば、楽譜に書かれたアーティキュレーションにそのまま従うのではなく、曲の表現にあった表現を自分自身で考えること。どうやって曲の主題を浮き立たせるか、そして微妙なテンポと間のとり方などです。

音楽を記録し伝達する手段として楽譜というものがあるわけですが、それに対する考えかたによって、そこに再現される音楽が感動的にもなるし、まったくつまらなくもなる。良い演奏家になろうと思ったら、作曲家の心理をある程度理解できるようにならなくてはいけないな、と思いました。

研究の現実

生理学やイメージングの実験というのは自動車のF1レースに似ています、ドライバーの技量がいくら良くても、マシンの性能が悪ければレースには勝てません。

10月は科研費のシーズンです。今年度はすでにずいぶんを研究費の申請書を書きましたが、いい加減うんざりしてきました。もしグラント書きと学会の参加で実験が中断されることがなければ、研究はどれだけはかどるかわかりません。

イタリア行ってきました

1週間ほど休暇をとって妻とイタリアを旅行してきました。
訪れたのはローマ、それから聖フランチェスカの聖堂で有名なアッシジと中世の面影を残す小さな都市オルビエートです。







ローマではバチカンの博物館とサン・ピエトロ寺院を訪れ、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画と最後の審判、それからピエタの実物を見ることができました。

それからローマ市内のいくつかの教会と美術館ではカラヴァッジョの絵画を見ることができました。



私はラファエロやベルニーニのような当時から大家と認められた「エリート芸術家」よりも、ミケランジェロやカラヴァッジオやボッロミーニなど、天才的な技量を持ちながら、大胆でどこか狂気を感じさせるような芸術家に共感を覚えます。


ゲーテは言いました「システィーナ礼拝堂を見ずしては、およそ一個の人間がどれほど偉大なことをなしうるか、直感的に理解することは不可能である。多くの偉大で有能な人間のことを聞いたり読んだりはするが、しかしここにはそれが頭上に、眼前に、いまだに生き生きとして存在しているのだ。」