2010年12月31日金曜日

コソボの日本人指揮者

今朝起きて、なにげなくテレビをつけたらテレビ東京で「戦場に音楽の架け橋を〜指揮者柳澤寿男 コソボの挑戦〜」というドキュメンタリー番組を放映していました。

内戦後のコソボでオーケストラの首席指揮者になった柳澤さんが、ミトロヴィッツァという街で、対立するアルバニア人とセルビア人の2つの民族の奏者を集めてコンサートを開くまでの話だったんですが、コソボでこんな活動をしている同世代の日本人がいるのかと初めて知りました。これには自分のやっている研究なんか、ちっぽけに思えますね。

「中立的な日本人だからこそできることがある」というお話が印象的でした。今回は朝7時からの放映ということで前半を見逃したので、ぜひ再放送してほしいです。

2010年12月30日木曜日

極私的2010年総括

すっかり年末休暇モードです。昨日、今日と家の大掃除をし、年賀状を書き、近所のショッピングセンターにお正月の準備の買い物にいってきました。

2010年という年を個人的に振り返ってみると、アメリカでやった研究の論文を1つ出すことができたこと、それから、様々な場所で、自分の研究と研究観について話したり書いたりする機会をいただけたことが大きな成果でした。

国内、海外の学会での発表も、プロジェクト開始後のかなり早い時期に、目に見える成果を出すことができたので良かったと思います。2011年も、この好調な流れが継続するように努力したいです。

来年度の科研費予算は菅首相の「ツルの一声」で大幅増額になったそうで、大変ありがたいことです。菅さんが書いているように、若い研究者が夢をもてるように使ってほしいと願っています。

2010年12月29日水曜日

研究お役立ちサイト その1

オンライン通販サイトで「便利」なのは、
電子部品なら「rsオンライン
ネジなら「ねじNo1.com
その他消耗品や器具なら「MonotaRO
このあたりですね。

他にも良いところをご存知なら、ぜひ教えてください。

2010年12月28日火曜日

イメージング実験の大衆化

分子生物学実験はすでに多くがキット化されており、箱に入った試薬をサンプルに順番に加えて保温するだけで、生化学反応の詳細を知らなくても実験ができるようになって久しいですが、イメージングの実験も、今までは研究者自らが作っていた実験装置やソフトウェアがだんだんと市販されるようになってきて、実験系の詳細を知らなくても、とりあえずデータはとれる時代になろうとしているのかもしれません。

私はそういう研究の大衆化にはせめてもの抵抗をして、これからも自分だけにしかできない実験技術を磨いていきたいと思っています。

2010年12月27日月曜日

現実と虚構の境界

最近、家で妻と爆笑しながら見ているサイトが「虚構新聞」です。有名なサイトなので、ご存知の方も多いかもしれません。

見た目は某新聞のウェブサイトのようですが、内容はありそうでない虚構ニュースを掲載しているサイトです。そういえば、以前似たようなコンセプトのサイトに「ニセ首相官邸」ホームページというのもありました。

「虚構新聞」はどの分野のニュースも読んで面白いですが、科学記事も面白いですね。「ES細胞から鼻毛の培養に成功」「脳内画像読み取りで『脳内彼女』再現」とか、うまいな、という感じです。もし自分が幹細胞を研究していたら、これ読んで、本気で鼻毛に分化させようとしたかもしれません。

このサイトの本当の面白さ、というか、その「威力」は、このサイトを見た後で、本当の新聞のサイトのニュースを読むと、それが嘘っぽく見えることです。現実と虚構の境界のぎりぎりを行ったり来たりする感覚が楽しめます。

2010年12月26日日曜日

私の好きな本 その1

岩波文庫の『ロダンの言葉抄』を読むと、彫刻の神髄が「自然を研究すること」そのものであることがわかります。優れた芸術家が、自然科学の研究者以上の研究者であることは十分ありえます。

「・・・美とは、芸術においては、強く表現された真の事に過ぎないからです。ある芸術家が自然の中で眼に映ずるどんなものをでもその真を力強く、深く表現する事に成功したら、その作品は美です。これより外にそれを判断する道はない。・・・」

「自然は至上の建築家です。何もかも最美の釣り合いで建てられています。」

「芸術とは自然が人間に映ったものです。肝腎な事は鏡をみがく事です。」 (ロダン)

2010年12月24日金曜日

レーザー顕微鏡のスキャン速度

最近いろいろなメーカーがレーザー顕微鏡に導入しているresonant scannerですが、スキャンが速くなるということは、単に速い現象を観察できるということだけではなくて、実験の自由度と可能性が大きく広がることを意味します。

リコーダーフェア@ヤマハ銀座

毎年12月は銀座のヤマハで「リコーダーフェア」なる催しがあり、普段お目にかかれないような多くの種類の楽器を試奏できたり、楽器が10%割引で買うことができます。今年のフェアは今日(23日)から4日間の開催でしたので、午後からは銀座に出かけ、以前から欲しかったバスリコーダーを買いました。うちでは妻がヴァイオリンを弾くので、このバスリコーダーで通奏低音を吹いたら、何か面白い合奏ができそうです。

楽器の選定では、欲しかったヤマハのバスの在庫を試奏させてもらい、明らかに音程が良くない1本を除けば、あとは似たり寄ったりだったので、最後は好みで1本を選んだのですが、私にもう少し経験と技術があれば、どれが本当に一番良い楽器なのかちゃんと判定できたのかもしれません。個々の楽器は同じモデルとしての共通点をもちながら、一本一本個性があって、いわば生物みたいですね。種差と個体差です。

「良いリコーダーの音色とはどういうものか」ということ一つとっても、はっきりとした考えをもつことは、アマチュアにとって必ずしも簡単なことではないかもしれません。一般的にはやせた音より力強い音のほうが良いし、ぼやけた音よりは締まった音の方が良いとは言えますが、演奏者の「趣味」による部分も大きいです。私自身は、アンサンブルよりも主に独奏に使うので、音色に艶があってよく鳴る楽器が好きですね。

今回、展示されていて個人的に面白いと思ったのは、竹山の手頃な価格のヴォイスフルートとMollenhauerの”Modern Alto"という、最低音を拡張する(F−>E)キーのついたアルトリコーダーでした。どちらも表現の幅を広げてくれそうです。

2010年12月23日木曜日

論文12/23/10

Nature
Genetic dissection of an amygdala microcircuit that gates conditioned
fear
Wulf Haubensak et al.

Encoding of conditioned fear in central amygdala inhibitory circuits
Stephane Ciocchi et al.

Support for a synaptic chain model of neuronal sequence generation
Michael A. Long, Dezhe Z. Jin and Michale S. Fee

L1 retrotransposition in neurons is modulated by MeCP2
Alysson R. Muotri, Maria C. N. Marchetto, Nicole G. Coufal,
Ruth Oefner, Gene Yeo et al.

Gene expression divergence recapitulates the developmental
hourglass model
Alex T. Kalinka, Karolina M. Varga, Dave T. Gerrard,
Stephan Preibisch, David L. Corcoran et al.

A phylogenetically based transcriptome age index mirrors
ontogenetic divergence patterns
Tomislav Domazet-Loso and Diethard Tautz

A population-specific HTR2B stop codon predisposes to severe
impulsivity
Laura Bevilacqua, Stephane Doly, Jaakko Kaprio, Qiaoping Yuan,
Roope Tikkanen et al.

Preplay of future place cell sequences by hippocampal cellular
assemblies
George Dragoi and Susumu Tonegawa

Cortical representations of olfactory input by trans-synaptic
tracing
Kazunari Miyamichi, Fernando Amat, Farshid Moussavi, Chen Wang,
Ian Wickersham et al.

Spatially asymmetric reorganization of inhibition establishes a
motion-sensitive circuit
Keisuke Yonehara, Kamill Balint, Masaharu Noda, Georg Nagel,
Ernst Bamberg et al.


Development of asymmetric inhibition underlying direction selectivity in the retina.
Wei W, Hamby AM, Zhou K, Feller MB.

Nature Neuroscience
Functional imaging of hippocampal place cells at cellular resolution
during virtual navigation
Daniel A Dombeck, Christopher D Harvey, Lin Tian, Loren L Looger and
David W Tank

Science
Cholinergic Interneurons Control Local Circuit Activity and Cocaine Conditioning
I. B. Witten 
et al. 

Nature Reviews Genetics
Network medicine: a network-based approach to human disease
Albert-Laszlo Barabasi, Natali Gulbahce and Joseph Loscaizo

J. Neurophysiol.
Fast Nonnegative Deconvolution for Spike Train Inference From Population
Calcium Imaging
Joshua T. Vogelstein, Adam M. Packer, Timothy A. Machado, Tanya Sippy,
Baktash Babadi, Rafael Yuste, and Liam Paninski

Neuron

An Embedded Subnetwork of Highly Active Neurons in the Neocortex
L. Yassin, B.L. Benedetti, J.-S. Jouhanneau, J.A. Wen, J.F.A. Poulet, and A.L. Barth

The Mechanism of Rate Remapping in the Dentate Gyrus
C. Rennó-Costa, J.E. Lisman, and P.F.M.J. Verschure

Analysis of Excitatory Microcircuitry in the Medial Entorhinal Cortex Reveals Cell-Type-Specific Differences
P. Beed, M.H.K. Bendels, H.F. Wiegand, C. Leibold, F.W. Johenning, and D. Schmitz

和光市ランチ情報 其の壱

お昼ごはんは研究所の食堂も確かに安くておいしいですが、気分転換に外にでかけるなら、私のおすすめの一つはヨーカドーの裏にあるトンカツ屋の「けやき」です。

揚げたてアツアツ、衣サクサクのカツとご飯でお腹いっぱいになります。お得なのはトンカツとチキンカツとアジフライの盛り合わせのミックス定食かな。他のメニュー(カツ丼など)もおいしいです。

2010年12月21日火曜日

一本の杖

最近独立されたある若手研究者(大変優秀な方です)のホームページに、研究室の方針として「時間はかかってもいい研究をしよう」という趣旨の一文が書かれているのですが、これには私も激しく同意できます。研究において拙速や平凡には、ほとんど存在価値がありません。それらは時間の淘汰に耐えられないからです。

今日は少し長いですが、私の好きなソローの本から引用しておきます

・・・むかし、クールーの町に、完璧を志して精進するひとりの芸術家がいた。ある日、彼は一本の杖をつくることを思いついた。不完全な作品は時間に左右されるが、完全な作品は時間に無関係であると考えた彼は、『よし、おれの一生でほかになにひとつ達成できなくてもかまわないから、あらゆる点で非の打ちどころのない杖をつくることにしよう』と、ひそかにつぶやいた。彼は、この目的にふさわしくない材料は断じて使うまいと心に決めて、さっそく木を探しに森に出かけた。枝木を一本一本調べては捨てているうちに、友人たちは次つぎつぎと彼のもとを去っていった。彼らは仕事をしている間に年をとり、死んでしまったのに、彼のほうはわずかなりとも老いることはなかったからである。その目的と決意の一徹さ、および信仰心の高揚が、本人の気づかぬ間に、永遠の青春を彼に与えていたのであった。『時間』と妥協しなかったおかげで、『時間』は遠くからため息をついているほかはなかった。どこから見ても杖にふさわしい木の幹を、男がやっと探しあてたころには、クールーの町はすでに蒼然たる廃墟と化していた。彼はある塚の上に腰を下ろして樹皮をはがしにかかった。杖のかたちをまだうまく整えないうちに、カンダハル王朝は終わりを告げた。彼は棒の先でその一族の最後の者の名を砂に記し、それからふたたび仕事にとりかかった。杖をなめらかにし、磨きをかけ終えるころには、カルパなどはもう時間の指標ではなくなっていた。彼が杖に石突と、宝石で飾った頭をとりつける前に、ブラフマンは幾度も目をさまし、眠りについた。それにしても、私はなぜこんな話を長々と続けているのだろう。彼が最後の仕上げを施したとき、杖は突然みるみる大きくなり、仰天しているこの芸術家の前で、ブラフマンのあらゆる創造物のなかにあって、ひときわ美しい作品になったのである。彼は杖をつくることによって、ひとつの新しい宇宙を、完全な美しい均整をもった、ひとつの世界を生み出していたのであった。古い都市や王朝はつぎつぎと滅び去っていったが、それよりもはるかに美しく輝かしい都市と王朝が取って代わったのだ。こうして彼はいま、足もとにうずたかく積まれた、まだ新しい削り屑を見て、自分と自分の作品にとっては、それまでの時間の経過が単なる幻想に過ぎなかったこと、ブラフマンの脳から飛び散ったひとかけらの火花が、人間の脳の火口の上に落ちて発火するのに必要な時間しか経過していなかったことを悟ったのである。材料は純粋であり、彼の技術も純粋であった。結果がめざましいものであったのは当然ではないか?」(ソロー『森の生活』)

2010年12月20日月曜日

二光子顕微鏡用レーザー比較

生物試料観察のための二光子レーザー顕微鏡に用いる近赤外パルスレーザーを新たに購入するとき、今ならたいてい、Spectra-physics社のMai Tai Deep SeeかCoherent社のChameleon Vision IIの比較になると思います。

レーザーは高額な買い物なのに、「どちらを買っても同じ」「前の研究室でこちらを使っていたから」「XX研がこちらを使っているから」というあいまいな理由で機種選定を行っていることが、意外と多いのではないでしょうか。

それぞれの会社の営業担当の方々からいただいた情報をもとに、それぞれの機種のカタログスペックを比較して長所をまとめてみると、次のようになります。ご参考までに。

Mai Tai Deep See
パルス幅が短い(HPは100fs、eHPは70fs)

Chameleon Vision II
長波長側が1080nmまで出せる(赤色蛍光タンパク質の観察に有利)。
出力が高い(800nmで3W)。
群速度分散補正が0fs^2から可能。

レーザーに限らず、私がモノの選定に重要視する基準は、使い勝手がよいかどうか、ユーザーサイドの自由度が高いかどうかです。せっかく基本性能が良かったり、良い機能がついていたとしても、使う気にならないほど使いにくければ、意味がありません。

2010年12月19日日曜日

ワークライフバランス

一眼レフカメラの撮影モードには「絞り優先モード」とか「シャッター速度優先モード」とかありますが、最近の私の動作モードはさしずめ「家庭優先モード」です。

今日は車の契約と保険の相談に奔走した一日。自分の人生を長期的に考える良い機会になりました。

保険の基本は、貯蓄性の高い終身型保険と、安い保険料で大きな保障が得られる定期保険を、自分の人生設計に応じて上手に組み合わせる、ということになります。健康なときには「自分が将来ガンになるかも」とか「脳卒中で介護状態になるかも」とか想像しにくいですが、残される人たちのためにも、できるかぎりの備えをしておくことが大事ですね。

ちなみに、私たちがお世話になったのは近くの「ほけんの窓口」のお店です。とても親切丁寧に相談に乗っていただきました。

2010年12月18日土曜日

土曜の夜の小さな楽しみ

川口の角上魚類という、新潟寺泊に本店をもつ、地元では有名な魚屋があるのですが、今日は近くまでいったので、新鮮な鯛4匹と牡蠣2個とブリの刺身一皿で、しめて900円という、いつもながらの格安の買い物をしました。もう他のお店では魚は買えません。

家に帰ってグリルで牡蠣を殻ごと焼き、開いた牡蠣に妻の実家から届いたカボスをしぼり、さらに醤油を2、3滴たらして食べると、超美味。写真を撮り忘れてお見せできないのが残念です。

2010年12月17日金曜日

ドストエフスキーの詩学

『鈴木先生』おもしろいですね。不気味な静けさで始まった学級会が突如大紛糾するあたり、非常にドストエフスキー的です。ポリフォニー的であり、カーニバル的である。バフチンもびっくりです。

2010年12月16日木曜日

松井@ベイエリア

松井の移籍先がオークランドのアスレチックスに決まりました。サンフランシスコに住んでたら、松井に偶然出会う可能性があるかも?

極私的ブレイクスルー2

ははは。びっくり。こりゃすげーや。

2010年12月15日水曜日

良い営業と普通の営業

先週の結婚式で再会した高校時代の同級生の一人は、某大手自動車会社の営業で優秀な成績をおさめ、今は店長に昇進しているそうです。

研究の試薬や機器の営業でも、「この人は頼りになるな」と思える人は確かにときどきいますが、良い営業と普通の営業って、どう違うんでしょうね。

「売ってる商品について良く知っている」とか「仕事が速い」というのは当たり前(=普通の営業)ですが、それだけでモノが売れるわけではない。

ちょっと考えてみても、「良い営業」のスタイルって一つではないことはわかります。自分をよく知って、その強みを独自のスタイルにまで磨いていく、ってことかな。

2010年12月13日月曜日

根源的疑問

カルシウムイメージングをやっててよく聞かれる質問の一つに「イメージングで本当に新しいことがわかるんですか?」というのがあります。「電気生理で今まで言われていたことの追試にすぎないじゃないか」という意味なんですが、もしあなたがイメージング屋ならば、この手の質問にきちんと答えられないといけません。

「見えるだけですごいこと」「見てみなければわからない」などと意気込んでみても、それでは答えたことになりません。イメージングによって、過去にどのような本質的な発見がなされたか。またこれからどんな本質的な発見がなされる可能性があるか。研究費や就職のインタビューでは本当によく聞かれる質問です。

論文12/13/10

PLoS Biology
Microglial Interactions with Synapses Are Modulated by Visual Experience
Marie-Ève Tremblay, Rebecca L. Lowery, Ania K. Majewska

Nature Methods
Chronic optical access through a polished and reinforced thinned skull
Patrick J Drew et al.

PNAS
Female genomic response to mate information
Julie K. Desjardins, Jill Q. Klausner, and Russell D. Fernald

Cell
A Model for Neural Development and Treatment of Rett Syndrome Using Human Induced Pluripotent Stem Cells
M.C.N. Marchetto, C. Carromeu, A. Acab, D. Yu, G.W. Yeo, Y. Mu, G. Chen, F.H. Gage, and A.R. Muotri

J.Neurosci.
Transgenic Targeting of Recombinant Rabies Virus Reveals Monosynaptic Connectivity of Specific Neurons
Aldis P. Weible, Leslie Schwarcz, Ian R. Wickersham, Leah DeBlander, Haiyan
Wu, Edward M. Callaway, H. Sebastian Seung, and Clifford G. Kentros

Diverse Patterns of Odor Representation by Neurons in the Anterior Piriform Cortex of Awake Mice

Cheng Zhan and Minmin Luo

Science
How Learning to Read Changes the Cortical Networks for Vision and Language
S. Dehaene et al.

Video-Rate Molecular Imaging in Vivo with Stimulated Raman Scattering
B. G. Saar et al.

Micro-Optical Sectioning Tomography to Obtain a High-Resolution Atlas of the Mouse Brain
A. Li et al.

Motor Control by Sensory Cortex
F. Matyas et al.

Universality in the Evolution of Orientation Columns in the Visual Cortex
M. Kaschube et al.

Filtering of Visual Information in the Tectum by an Identified Neural Circuit
F. Del Bene et al.

Evidence for a Collective Intelligence Factor in the Performance of Human Groups
A. W. Woolley et al.



Neuron
Superresolution Imaging of Chemical Synapses in the Brain
A. Dani, B. Huang, J. Bergan, C. Dulac, and X. Zhuang



Spiral Wave Dynamics in Neocortex
X. Huang, W. Xu, J. Liang, K. Takagaki, X. Gao, and J.-y. Wu



NMDA Receptor Ablation on Parvalbumin-Positive Interneurons Impairs Hippocampal Synchrony, Spatial Representations, and Working Memory
T. Korotkova, E.C. Fuchs, A. Ponomarenko, J. von Engelhardt, and H. Monyer.


2010年12月11日土曜日

志を同じくする者

私、将来独立してまとまった研究費がもらえたら買いたい顕微鏡があるんですが、昨日は日本ですでにその顕微鏡を導入されている某大学の先生を訪問して、研究に関する有意義な議論をすることができました。自分が研究に対して抱いている思いを共有することができるというのは、非常に心強い思いがします。

今日は東京で高校時代の同級生の結婚式があって、昔の友人に久しぶりに会うことができました。みんなそれぞれの分野でがんばっている人たちなので、ものすごく刺激を受けました。高校時代にお世話になった恩師にも会えて良かったです。私は人生の節目節目でこの先生に暖かい励ましを頂いていますが、はっきり言って、今の私があるのはこの先生のおかげです。

2010年12月9日木曜日

人生初着物に挑戦

義理の両親が結婚を機に私たち夫婦に着物を仕立ててくれたこともあって、今度のお正月はぜひその着物を着たいなと思っております。

今日は仕事の後に実家に夕食を食べにいき、その着物を鏡の前で羽織ってみました。大変素敵なものなので、今から楽しみです。

2010年12月8日水曜日

よかったのー

今日も実験がまた一つの山を越えました。よかったよかった。

ま、でもいい研究をするということにはキリがありません。こんなことで満足していてはいかんな。

2010年12月5日日曜日

鈴木先生

鈴木先生と言っても、ノーベル賞授賞式のためにストックホルムに出かけたあの鈴木先生のことではありません。武富健治という人の描いた『鈴木先生』という漫画のこと。これはめちゃくちゃ面白いです。

タイトルの通り鈴木先生という若い中学教師を主人公とした漫画ですが、ペンで陰影を描いたその劇画調の画風といい、「ループタイ」をした鈴木先生の古風な服装といい、そして過剰とも思える綿密な主人公の心理描写といい、かなり異色な漫画というか、ひとことでいうと私のツボです。作者の武富氏はドストエフスキーに影響されているそうですが、そうだろうなと、すごく納得がいきます。

先週の金曜日は、某有名学術雑誌出版社で最近までエディタとして活躍されていた方のお話を研究所内で聞く機会がありました。研究プロジェクトの選び方や論文の書き方などで、非常に為になるアドバイスを聞くことができました。

最近、我が家では土鍋でご飯を炊くのが流行っています。電気炊飯器よりも早く香ばしく炊けます。手順も簡単で今まで失敗したことはありません。おすすめです。

2010年12月3日金曜日

極私的ブレイクスルー

研究のほうは一つ技術的な問題をクリアしました。12月は飛躍的進歩(?)が見込めそうです。

2010年12月1日水曜日

研究のアイデンティティ

『ハーバードからの贈り物』という邦題の本(原題"Remember who you are")は、ハーバードビジネススクールの教授たちが、学期の最後の授業で学生たちにするような、ちょっとした小話を集めた本なのですが、なかなかおもしろいですね。

それぞれの話の内容は、学生たちの多くが卒業後にビジネスリーダーになることが期待されているだけあって、将来のリーダーの心構えみたいなものについて説く話が多いです。エリート教育という訳ではないけれど、そういうものが自然にさらっと書いてあるあたりが、個人的には好感がもてます。会社の役員に、現場の社員の気持ちを忘れてしまう「CEO病」というものがあるならば、研究室運営にも「PI病」というものが存在するかもしれません。

今日は東京の某ホテルでイメージングに関するシンポジウムがあったので、お目当てのスタンフォードの某教授の講演を聴きに午前中だけ参加しました。はっきりいって技術的にはすごいですね。我々の研究はまだ国際的な競争力を持つ段階にすら達していません。自分たちの研究の立ち位置のようなものを見いだすまでにはまだ長い時間がかかりそうです。

2010年11月30日火曜日

時代は変わる

私は以前は物事に白黒つける方が好きでしたが、ここにきて、物事にはあいまいなままに残しておいた方が良いものもあるのだ、ということがわかってきました。成熟と言えば聞こえはいいですが、ただ単に歳をとっただけなのかもしれません。

ボブ・ディランの歌に"The Times They Are a-Changin'"というものがあります。今聞いても、1960年代の政治的変革の雰囲気をうまく表現している歌ですが、歌詞が素晴らしいですね。「そうだよなあ」と共感せずにはいられません。

2010年11月28日日曜日

論文11/28/10

PLoS Computational Biology
Reconstructing the Three-Dimensional GABAergic Microcircuit of the Striatum
Mark D. Humphries, Ric Wood, Kevin Gurney


Frontiers in Computational Neuroscience
Spike-timing dependent plasticity and the cognitive map 
Daniel Bush, Andrew Philippides, Phil Husbands and Michael O’Shea



Frontiers in Neuroanatomy
Inputs to the dorsal striatum of the mouse conserve the parallel circuit architecture of the forebrain 
Weixing X. Pan, Tianyi Mao and Joshua T. Dudman



PLoS One
Two-Photon Imaging of Calcium in Virally Transfected Striate Cortical Neurons of Behaving Monkey
Barbara Heider, Jason L. Nathanson, Ehud Y. Isacoff, Edward M. Callaway, Ralph M. Siegel

2010年11月27日土曜日

サイタマ愛

昨日は埼玉県議会の議員さんたちが20名弱ほど研究所に視察に訪れました。私は、研究所を代表して、というわけではありませんが、サイタマ県出身ということもあり、セミナー室で20分ほど自分の研究の話をする機会をいただきました。

議員さんというのは何事にも熱心ですね。二光子顕微鏡と脳の回路についての話も興味をもって聞いていただきました。特に教育や医療のことについては関心が高いのか、そうした分野の関係に関する質問をいただきました。今まで高校生に研究の話をすることは何度かありましたが、政治家の先生方に話すのは初めてだったので、良い勉強になりました。

そういう私のサイタマ愛のあらわれというわけではありませんが、週末は妻と森林公園に紅葉を見に行きました。森林公園は小学校の遠足以来30年ぶり(?)くらいに入園しましたが、自然が豊かでほっとしますね。先週のSfNで今年の大きな研究関連の行事は終わったので、久しぶりにゆったりとした休日を過ごすことができました。

2010年11月25日木曜日

おめでたい科学者

小学生の頃、今では「ファーストガンダム」と呼ばれる『機動戦士ガンダム』を見て育った世代の私にとって、科学者とか技術者という人たちに対するイメージに少なからず影響を与えているのが、実は主人公アムロ・レイの父、テム・レイだったりします。

このアムロの父ちゃんテムは、もともとはガンダムの生みの親である優秀な技術者なんですが、サイド6でアムロが再会した父は、サイド7で負った酸素欠乏症のために脳がやられちゃってて、自分が開発した時代遅れのパーツを「こいつをガンダムの記憶回路にとりつけろ。・・・すごいぞ、ガンダムの戦闘力は数倍に跳ね上がる。持っていけ、そしてすぐ取り付けて試すんだ」とアムロに差し出す、非常に印象的なシーンがありますね。そしてその後のガンダムの戦闘をTV で観戦して狂喜する父ちゃんが、ちょっと痛い。

うーん、なんかね。顕微鏡の新しいパーツを試したりするときに、なんとなくアムロの父ちゃんのことを思い出すのでした。

2010年11月23日火曜日

創造へのファサード

今日はリコーダーのレッスンが東京郊外の先生の自宅でありました。マルチェロやバルサンティ、それからレイエなど、イタリアとフランスのバロックのソナタをやりました。技術的には私にちょうど良いです。吹いていて楽しいという感じです。

今回のアメリカ出張で見学した研究室のうち、一番印象的だったのはソーク研究所です。ソークを訪れたのは2回目で、今回は計算論的神経科学で有名な某研究者の研究室を訪問したんですが、隣の研究室との境界があいまいで(私がいたUCSFもそうですが)、研究者同士の自然な交流が生まれるようになっています。PIのもつカリスマのせいか、カーンの建築による魔力かわかりませんが、研究室の雰囲気が開放的で、何か創造的なことが起こりそうな感じが漂っていました。私も独立したら、あのような雰囲気をもった研究室を作りたいと思います。

2010年11月22日月曜日

帰国しました。

サンディエゴでのSfNの後にサンフランシスコに立ち寄って、UCSFの元・所属研究室と、UCバークレーの友人の研究室を2つ訪ねました。バークレーでは大脳皮質の可塑性を研究している2つの研究室を訪ねたのですが、技術的な面で非常に勉強になりました。

サンフランシスコの街中を歩いていると、そこに住んでいたのはつい1年半前なんですが、なんだかその頃のことは、自分の中で、もう既に過去の話になっているんだなという気分になりました。人は新しい人生の方向に進むたびに、かつて居た場所にはいつでも戻れると思いながら、やっぱり一度踏み出してしまったら、なかなか過去には戻れないものです。人生に対する考え方は人それぞれだと思いますが、私の場合は基本的に一方通行です。一度始めたら、何かに突き当たるまで進むしかありません。

2010年11月18日木曜日

SfN2010終了

今回の学会は情報収集の面でも非常に得るものが大きかったです。世界の研究の流れが加速するなかで自分の研究の存在感をどう示したらいいのか、今回得た情報を元に、次の1年を考えたいです。

ところで、今回の学会会場で著名な「脳科学者」である茂木健一郎氏の姿を見かけました。いつもの黒い服ではなく、茶色のTシャツをお召しでした。会場の隅に座り、パソコンに向かって何か仕事のようなものをされていたので、声はおかけしなかったんですが、テレビで見たことがある姿を現実に見かけるときの脳の働きっていうのは、モギケン的に説明すると「アハ」っていう感じですか。

2010年11月17日水曜日

ポスター発表@SfN2010

今日の午前にポスター発表をしました。結果はまだ非常に予備的なんですけど、自分たちがどういうことをしていて、どういう方向に進もうとしているかを、世界中から集まった研究者に知ってもらえる機会になったので、とりあえず発表してよかったなと思っています。

観客の中には、積極的に質問してくれた方、ミニポスターのリクエストをしてくれた方、アメリカで研究していたときの友人たち、通りすがりにチラ見していく方、いろんな方がおられました。今回の発表が、当該分野の研究の発展につながれば良いなと思っております。来年はもっと良いデータが出せるようにしたいです。

2010年11月16日火曜日

はやぶさの快挙

探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子に小惑星イトカワのものが1500個も含まれていたというニュースはすごいですね。読んで鳥肌が立ちました。

SfN2010は引き続き面白い発表が続いています。今回の学会からはメモを大判のノートに書くのではなく、モレスキンのソフトカバーの縦型の手帳(Reporter style pocket notebookと呼ばれる新聞記者が使うような形のもの)を使うことにしました。これは非常に使い勝手がいいです。学会での情報の収集と管理がずいぶんし易くなりました。

2010年11月15日月曜日

SfN2010@San Diego

サンディエゴのSfNに来ています。全体的な活気は昨年のほうがあった気がするんですが、いくつかのポスターは極めて高いレベルの研究をしています。日本の研究とは別次元です。

やっぱりこういうところに出てきて、厳しい中で揉まれないといけませんね。日本の居心地の良さに慣れてしまったら、研究者としては終わりかも。。。

2010年11月10日水曜日

神戸の『罪と罰』

神戸の海上保安官が中国漁船衝突の映像を流出させたと名乗り出たそうですが、まるで『罪と罰』のラスコーリニコフの自首を思わせます。

ラスコーリニコフはいわば「選ばれた人間はより大きな正義のためなら法を踏み外しても許される」という独自の理論でもって老婆殺しの犯行に及んだわけですが、この海上保安官が、どういう動機でもって「機密映像」の流出に及んだのかというのは、ちょっと興味深いです。

一連の問題に対する政府の対応に批判が集まっていますが、櫻井よしこ氏の言説はもっともな気がします。

2010年11月9日火曜日

ちょっといいこと

先日、理研を訪問した福島県の高校の生徒さんに脳科学の講義をさせていただいたんですが、今日はその学校の校長先生から丁寧なお礼状が届きました。研究者って普段こういうお手紙をいただくような機会があまりないだけに、とてもうれしいですね。励みになります。

2010年11月8日月曜日

道楽と職業

研究者にとって質と量の両面で一番仕事がはかどるのは、自分のペースで仕事ができているときです。夏目漱石も『道楽と職業』という講演の中で、「芸術家と学者は、わがままだからこそその道で成功する。彼らに己を捨てさせることは、彼らを殺すのと同じ結果になる」という趣旨のことを述べています。

私はわがまま、というのとはちょっと違うかもしれないけど、仕事を進める上でマイペースは貫きたいと思っています。これは研究の生命線です。

日本の現在の「外交」問題について、朝日、読売、毎日の社説を読み比べたりすると、それぞれ微妙に異なったスタンスをとってるのがわかって面白いんですが、意外と歯に衣着せない言論をしているのは、この「三大」よりも、むしろ産経新聞ですね。それから産経は最近、裁判員裁判の実況にも力をいれていて、押尾学事件や耳かき店員殺人事件など注目の裁判の様子も、他の新聞より詳しくウェブで読める。なかなか面白いですね。

2010年11月6日土曜日

存在の耐えられない軽さ

来週はサンディエゴで学会です。毎年おびただしい数の参加者と演題を見ると、自分の研究なんて風が吹けば飛ぶような軽さしかないなという気分になります。

以前書いた手帳とノートの活用術は、良い方法を見つけました。継続したら人生が一変しそうですね。こんなに良いものなら、もっと早くからやっておけばよかったと思っています。

論文11/6/10

Neuron
Ultrastructural Analysis of Hippocampal Neuropil from the Connectomics Perspective
Y. Mishchenko, T. Hu, J. Spacek, J. Mendenhall, K.M. Harris, and D.B. Chklovskii


Neural Activity in Barrel Cortex Underlying Vibrissa-Based Object Localization in Mice
D.H. O'Connor, S.P. Peron, D. Huber, and K. Svoboda




Spatial Representation along the Proximodistal Axis of CA1
E.J. Henriksen, L.L. Colgin, C.A. Barnes, M.P. Witter, M.-B. Moser, and E.I. Moser




Science
Dendritic Discrimination of Temporal Input Sequences in Cortical Neurons
T. Branco 
et al. 



Greater Neural Pattern Similarity Across Repetitions Is Associated with Better Memory
G. Xue 
et al. 



Cell Type–Specific Loss of BDNF Signaling Mimics Optogenetic Control of Cocaine Reward
M. K. Lobo 
et al. 



Nature Methods
Scanless two-photon excitation of channelrhodopsin-2
Eirini Papagiakoumou et al.



Nature
Functional connectivity in the retina at the resolution of
photoreceptors
Greg D. Field et al.



Cell
EphB-Mediated Degradation of the RhoA GEF Ephexin5 Relieves a Developmental Brake on Excitatory Synapse Formation
S.S. Margolis, J. Salogiannis, D.M. Lipton, C. Mandel-Brehm, Z.P. Wills, A.R. Mardinly, L. Hu, P.L. Greer, J.B. Bikoff, H.-Y.H. Ho, M.J. Soskis, M. Sahin, and M.E. Greenberg

Ube3aシグナリングに関する続報


PNAS
Divergent and nonuniform gene expression patterns in mouse brain
John A. Morris et al.

2010年11月5日金曜日

ビデオ流出に思う

海外に暮らして日本という国を外から眺めた経験のある人だったらわかると思うんですが、今回の尖閣諸島の中国漁船衝突ビデオ流出のような事件があると、日本という国も、国民がこういう重要な情報にアクセスできないよう統制されている国なんだなと再確認します。

ま、どの国も似たり寄ったりで程度の問題と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、自分たちの不自由さ(=自由の限界)というものを、ときどき認識することっていうのは、権力に飼い慣らされないためにも大事な気がします。

2010年11月3日水曜日

ミクロコスモス

仕事のほうで、ちょっとしたブレイクスルーがありました。これはすごい。何かというのはナイショです。ごめんなさい。

2010年11月2日火曜日

平成22年のブルース

ザ・ブルーハーツ時代に真島昌利が書いた『平成のブルース』。これは名曲っていうか、特に歌詞が秀逸ですね。世の中って、ホントここに書かれているようにバカバカしいなと思わずにはいられません。いろんな意味で。

2010年11月1日月曜日

シイタケとともに生きる

先日、妻と東急ハンズに行ったときに、森産業株式会社という会社が出している「もりのしいたけ農園」という、きのこ栽培キットを買ったのですが、これが凄い。

栽培ブロックから、しいたけがニョキニョキと生えてきて、毎日見る見る大きくなる。今日我が家では初収穫してソテーにして食べたのですが、とれたての生しいたけは、めちゃくちゃウマい。こんなうまいシイタケが2人で食べきれないくらいどんどん生えてくる。キノコ好きの妻は狂喜しています。というわけで、これはおすすめです。

2010年10月30日土曜日

研究への憧れとエンジニア魂

顕微鏡の方は、現在テストしている新しい検出器はなかなか良いようです。

今日は研究所の見学にきた福島県の高校生にセミナー室で1時間ほど研究の話をしました。その後に彼らが部活動で研究した(自然科学部の生徒さんたちだったので)研究論文のコピーをいただいたのですが、地下水の研究や自然におけるラセン構造の研究など、熱心に研究されていて素晴らしかったです。私も彼ら高校生にとって憧れの対象になるような研究者でありたいと思います。

リクナビNEXTのTech総研というサイトに連載されていた『シブすぎ技術に男泣き』という漫画、今は単行本化されていて一部で人気なようですが、読んでてすごく面白いです。実験でもまさにそうですけど、ものづくりに対するエンジニアのこだわりが良くわかって、めちゃくちゃ笑えます。

2010年10月28日木曜日

思考を習慣化するために

最近、日々の生活に追われてあまり物事を考える時間がとれません。研究者にとって「考える」ことは生命線ですから、これは良くない兆候です。

私はスケジュール管理やメモはオンラインのサービスを利用していて、普段はあまり手書きの手帳を使わない人間なんですが、思考のツールとして手帳やノートをもっと活用するといいのかもしれません。

巨人の肩の上に立つ

バロック期の著名なフルート奏者であり作曲家であるクヴァンツの『フルート奏法試論』という本を読んでいます。すごく有名な本です。

単なる奏法の解説じゃなくて、音楽家の心構えとかが書いてあって面白いです。音楽と演説の類似についても書いてあって、我が意を得たりという感じ。内容の雰囲気は、なんとなく世阿弥の『風姿花伝』を思わせますね。先人がこんなに有益な本を遺しておいてくれたことに感謝です。

2010年10月26日火曜日

プロの技とは何か

夕方、研究所のカフェテリアにいくと、そば・うどんコーナーで、もう初老かと思われる年齢のおじさんがそばを茹でているんですが、私はこの人のことをひそかに尊敬しています。

なにしろ、茹でたそばを丼に移し、きつねやワカメを乗せる動作、それから、できたおそばを「はいっ」とカウンターの上でお客さんに渡す動作がすごいのです。

そこまでしなくてもと思うほど、見る人によっては大げさでありながら、また別の人から見れば一杯のそばに魂を込めているようでもあるんだけど、出来上がったそばは、いかにもうまそうに、ネギとワカメときつねが丼の上できちんと正三角形を形成するように、きれいに盛りつけてあるのである。他の人のように、ごちゃっと盛りつけるのとはワケが違う。

こんなふうに、一見誰がやっても同じような作業において、自分だけにしかできない違いを作りだせるというのは、本当にすごい。プロの技というのは、こういうのを指すんだろう。

2010年10月25日月曜日

もっと光を

今日は職場の創立記念日で休日でした。研究所の建物はメインテナンスのための停電だったので、この週末3連休は仕事のことを忘れて休むことができました。

世間は平日なのに自分は休みという機会はなかなかないので、午前中は銀行に行って、お昼からは靴と服を買いにでかけて、有意義な一日を過ごすことができました。

起業家精神に関するスタンフォード大学の集中講義をまとめた『20歳のときに知っておきたかったこと』(原題What I wish I knew when I was 20)という本は、この手の本では非常に良い本です。著者のティナ・シーリグという人は、もともと大学院で神経科学を学んだ人だそうです。

とはいっても、この本は著者が神経科学出身だから良い本というわけではなくて、ぼくにとっては個人的に、この本を読むとサンフランシスコに住んでたときに時々訪れたスタンフォード大学やシリコンバレーの自由で開放的な雰囲気が思い出されるというか、書かれていることに「ああ、なるほど」と納得がいくんですね。

そう考えると、日本でああいう「まさに今ここで、新しい技術革新が起こっている」的な、エキサイティングな雰囲気を作り出すのは、なかなか難しそうです。何か違うといわれてもうまく言えないんですが、なんと言うか「明るさ」が足りないですね。

2010年10月24日日曜日

大学院講義をしてきました

先日、城西大学の大学院で『脳の可塑性をイメージングで見る』という、内因性シグナル光学イメージングと二光子レーザ顕微鏡の基礎と応用についての2時間の講義を行いました。

講義は、自分が今までやってきた研究をまとめて振り返るよい機会になりました。学生さんたちもまじめで、良い質問をいくつもしてくれました。

講義内容とは関係ないんですが、同じ日の朝に、この大学のキャンパスでは小栗旬の出演するドラマの撮影があったそうです。私は講義が終わった後、その小栗クンの控え室になっていた小会議室で、昼食のお弁当をいただきました。まぁもちろん、ご本人にお会いしたわけではないんですけどね。

2010年10月22日金曜日

Y社とG社の検索提携に思うこと

Yahoo JAPANの検索がGoogleのサーチエンジンを使うようになって、ひと月くらい前から、2つのサイトで同じ検索の結果が返ってくるようになりました。

検索アルゴリズムによって同じキーワードを入れても違う結果が返ってくるのは、検索エンジンごとの個性を作りだしていたんですが、その多様性が失われるというのは、例えば朝日新聞と読売新聞を開いたら同じ記事が載っているような、拍子抜け感があります。そういう情報の平板化の危険を意識しておかないといけません。

そんなとき、もう一つの選択肢として使えるのは、 今だったらBingなのかな。検索ウインドウの背景写真がきれいなのは好きですね。

2010年10月20日水曜日

『光とともに』

戸部けいこさんという漫画家さんの描いた『光とともに〜自閉症児を抱えて〜』という漫画を(ツタヤで)借りて読んでいますが、これは素晴らしい作品です。以前ドラマになったそうなので、(私はアメリカにいたので知りませんでしたが)ご存知の方も多いかもしれません。
漫画には、若い夫婦に生まれた自閉症の男の子、東光(あずま ひかる)くんの成長が描かれていて、今はちょうど中学校にあがったところまで読み進んだのですが、自閉症の特徴や、患者さんが生活しやすくなる工夫などが細かいところまで描かれていて、この漫画の作者が患者さんとその家族に丁寧に取材したことが、よくわかります。

それから登場人物の描かれ方も丹念ですね。特に主人公の自閉症児の光くんのお友達たちは、ごく自然に光くんの病気のことを理解して、彼の生活の助けになってあげるのですが、その描かれ方がなんというか純粋で、読んでいて感動的です。ああ、子供っていいなと。小さい時から一生続く難しい病気を題材にしながら、漫画全体の雰囲気が明るくて、作者のもつ愛とかと希望とか、そういうものが作品に満ちていますね。

ただ一つ残念なのは、作者の戸部さんが今年病気のために、作品を完結することなく亡くなってしまったことです。でも、おそらく戸部さんはこの漫画を書いていて、幸せだったんじゃないでしょうか。私がもしこの漫画の作者だったら、きっと「自分はこの作品を描くために生まれてきたんだ」ということが信じられたと思います。

お知らせ

Ube3a論文の紹介記事『Ube3a遺伝子による大脳皮質可塑性のゲノム刷り込み』が日本神経科学学会の会報『神経科学ニュース』に掲載されました。よろしければご覧になってください。

2010年10月18日月曜日

研究者の小さな幸福

再び実験に集中できる日々がやってきてハッピーです。11月の学会まで一ヶ月弱。ここでひと山ふた山、越えないといけません。

2010年10月17日日曜日

研究者の労働時間

科研費は一応現状でベストの形になりました。あとは審査員の判断です。

最近は、研究費の応募に関して、いいところまでいきながら落ちているということが多いです。どこか一つ突破すれば事態は好転する気配はあるのですが、その機会がいつどこにあるかわからない。抜け道を探すために壁のいろんなところを丹念に叩いて調べている、という感じです。

最近、研究者の労働時間ということについて考えているのですが、この話題を考えるときに一つの標準?になるのが、バークレーのMMP先生が書いた「あの手紙」のことですね。 成功したければ週60時間、最低でも50時間は働け、と書いてある。

60時間というと12時間/日x5日か10時間/日x6日、50時間なら10時間/日x5日か8時間/日x6日ですね。手紙にはその8時間の内訳について6時間の実験+2時間の研究関連活動(reading含む)と、書いてある。

個人的には、週60時間「毎週」働けるのなら、確かにその人はすごいと思うけど、50時間働くのは普通のように思うな。JSPSが以前調べたアメリカの研究者の労働時間も平均週50時間となってるし。「手紙」は、その脅迫めいた文面のせいで一時期話題になったけど、書いている内容は、それほど驚くべきことではないように思います。

2010年10月16日土曜日

『ふたりの女』

高松宮殿下記念世界文化賞を受賞して来日中のイタリア人女優ソフィア・ローレンですが、今でこそちょっとオバちゃんぽい外見になっていますが、昔、若いころはめちゃくちゃ美人でした。

先日ローマに行く飛行機のなかで見た、ヴィトリオ・デ・シーカの『ふたりの女』という映画にも主演していました。第二次世界大戦下のイタリアで、たくましく生きる女とその娘を描いた映画です。共演のジャン・ポール・ベルモンド(ゴダールの『勝手にしやがれ』主演)が、二人が疎開先で出会う内気で理想主義なインテリ青年を演じていて、それがなかなかいいのですが、この映画のストーリーは、デ・シーカが「戦争の悲惨さを描いた反戦映画」というだけあって、見終わった後、極めて憂鬱になるというか、ショッキングです。あんまり楽しい旅行の目的地に着く前に見るような映画ではありませんが、こういう映画を作るデ・シーカ、やはりただ者ではありません。

ソフィア・ローレンはこの映画の演技で、アカデミー主演女優賞を受賞しています。見れば納得の迫力の演技です。

最近の国際ニュース

チリ落盤事故の33人全員が無事救出されたというニュースは素晴らしいですね。まさに完璧な結果です。誰もが遭遇したことのない非常事態に立ち向かった関係者の努力に、頭が下がります。

ノーベル平和賞授与に関する中国政府のノルウェーに対する対応も大人げないと思うけど、中国の圧力に屈しないノーベル賞委員会とノルウェーの態度は毅然としていますね。船長を釈放した日本政府の対応と対照的です。

2010年10月14日木曜日

極私的独立宣言

科研費書いたり、起業家の書いた本を読んだり、ノーベル賞の報道を見たりした後に、自分の研究を取り巻く状況を振り返ってわかることは、やっぱり本当に自分の個性が出た研究は、独立して自分の研究室をもたないとできない、という至極当たり前のことです。

一般論から言うと、多分30代の半ばくらいで独立するのが、若さと経験のバランスが一番とれているような気がしますが、私はいい歳こいて仕事を出すのが遅いほうなので、とりあえず40歳までに独立することを一つの目標にしたいと思います。そうしたら60歳で研究をやめることになっても20年は研究ができる。20年あったら、いい仕事が一つくらいはできるかもしれません。

私が将来作る研究室は、哺乳類の行動に関わる神経回路機能をin vivoで本格的にイメージングできる研究室です。そのような研究室を確立するには、無数の技術的問題を解決するだけの高い技術力と、その技術で解くべき重要な生物学的疑問を長年の経験のうちに蓄積する必要があります。そのような研究室は、現在の日本ではやっと片手にあまる数のものが立ち上がろうか、という段階です。

しかし、日本で若手で二光子イメージングで独立しようと思ったら、理研とかの大きな研究所で独立する以外に、どこから顕微鏡を買うお金をもらえるのか、非常に謎です。共通機器の顕微鏡で実験するんでしょうかね。

2010年10月11日月曜日

同世代の仕事術

最近読んだ本にサイバーエージェントの藤田晋社長が書いた『藤田晋の仕事学』って本があります。これもブックオフで見つけて買ったものですが、同世代が書いた仕事術の本としてなかなか面白かったです。書いてあることが、自分にとっては読んでて自然に思えるというのかな、文章も上手な人ですね。

2010年10月9日土曜日

ぼやき

科研費なかなか進みません。まる1日かかって半ページしか書けないような私はおかしいんじゃないでしょうか?

書くべきことを考えることはそんなに難しくはないと思うんですが、限られたスペースに、必要なことを、平易に理解できる日本語で十分に表現する、というのがなかなか大変ですね。

2010年10月7日木曜日

カフェで仕事

うちから車で5分くらい行った埼玉県庁の近くに、「ドライブイン」という珍しい店舗形態のスターバックス浦和別所店があります。

車を停められる駐車場があって、お店の中も広くてくつろげるので、なんとなくアメリカの郊外のショッピングセンターにあるスタバに似た感じ(例えばエルセリートプラザ?)なんですが、私は原稿や申請書の締め切り間近になると、気分を変えるためにカフェで仕事をしたくなるので、最近はよくそこのスタバにお世話になっています。

ちなみに朝霞に住んでいたときは、よく朝霞駅西口のデニーズに出没していました。サンフランシスコにいたときは、大学の近くのTart to Tartというカフェ、アメリカに行く前に京都に住んでいたときはミスタードーナツ河原町今出川店でした。これらのお店に払ったお金が合計でいくらくらいになるのか、全く想像もつきません。ひょっとして蔵が建つかもしれません。

2010年10月3日日曜日

作曲家の心理を理解する

昨日はリコーダーのレッスンがありました。テレマンの無伴奏ファンタジー第1番をやったんですが、技術的にまだ曲に追いついていません。

それでもいろいろ学ぶことはあって、例えば、楽譜に書かれたアーティキュレーションにそのまま従うのではなく、曲の表現にあった表現を自分自身で考えること。どうやって曲の主題を浮き立たせるか、そして微妙なテンポと間のとり方などです。

音楽を記録し伝達する手段として楽譜というものがあるわけですが、それに対する考えかたによって、そこに再現される音楽が感動的にもなるし、まったくつまらなくもなる。良い演奏家になろうと思ったら、作曲家の心理をある程度理解できるようにならなくてはいけないな、と思いました。

研究の現実

生理学やイメージングの実験というのは自動車のF1レースに似ています、ドライバーの技量がいくら良くても、マシンの性能が悪ければレースには勝てません。

10月は科研費のシーズンです。今年度はすでにずいぶんを研究費の申請書を書きましたが、いい加減うんざりしてきました。もしグラント書きと学会の参加で実験が中断されることがなければ、研究はどれだけはかどるかわかりません。

イタリア行ってきました

1週間ほど休暇をとって妻とイタリアを旅行してきました。
訪れたのはローマ、それから聖フランチェスカの聖堂で有名なアッシジと中世の面影を残す小さな都市オルビエートです。







ローマではバチカンの博物館とサン・ピエトロ寺院を訪れ、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画と最後の審判、それからピエタの実物を見ることができました。

それからローマ市内のいくつかの教会と美術館ではカラヴァッジョの絵画を見ることができました。



私はラファエロやベルニーニのような当時から大家と認められた「エリート芸術家」よりも、ミケランジェロやカラヴァッジオやボッロミーニなど、天才的な技量を持ちながら、大胆でどこか狂気を感じさせるような芸術家に共感を覚えます。


ゲーテは言いました「システィーナ礼拝堂を見ずしては、およそ一個の人間がどれほど偉大なことをなしうるか、直感的に理解することは不可能である。多くの偉大で有能な人間のことを聞いたり読んだりはするが、しかしここにはそれが頭上に、眼前に、いまだに生き生きとして存在しているのだ。」

2010年9月22日水曜日

ディベート術入門

こないだブックオフで、今はシステムバイオロジーで有名な北野宏明氏がかつて書いた『ディベート術入門』という本を見つけたので、買って読みましたが、これは隠れた名著ですね。私は今まで主にパブリックスピーキングに興味をもって訓練を続けてきましたが、これからはディベートの世界も少し見てみようかな、と思いました。

2010年9月21日火曜日

心が渇いたら

週末の3連休の2日間は両親と共に妻の実家の宮崎を訪れました。ちょっとした親孝行です。宮崎は自然が雄大で、食べ物も美味しく、人も素朴で優しいので、とても好きな土地です。9月から伊勢エビ漁が解禁になって、今は伊勢エビのおいしい季節です。心身ともにリフレッシュしました。

2010年9月18日土曜日

論文9/18/10

Frontiers in Integrative Neuroscience
Cellular imaging of visual cortex reveals the spatial and functional organization of spontaneous activity
Yeang H Ch'ng and Clay Reid

Nature Methods
Spontaneous network activity visualized by ultrasensitive Ca2+
indicators, yellow Cameleon-Nano
Kazuki Horikawa et al.

Imaging brain electric signals with genetically targeted
voltage-sensitive fluorescent proteins
Walther Akemann et al.

PLoS One
Optical Imaging of Retinotopic Maps in a Small Songbird, the Zebra Finch
Nina Keary, Joe Voss, Konrad Lehmann, Hans-Joachim Bischof, Siegrid Löwel

J. Neurosci.
Experience-Dependent Development of Coordinated Hippocampal Spatial
Activity Representing the Similarity of Related Locations
Annabelle C. Singer, Mattias P. Karlsson, Ana R. Nathe, Margaret F. Carr,
and Loren M. Frank



Science
Relating Introspective Accuracy to Individual Differences in Brain Structure
S. M. Fleming et al.
Individual differences in the capacity for introspection are reflected in structural variation in the frontal lobe. 




High-Resolution Analysis of Parent-of-Origin Allelic Expression in the Mouse Brain
C. Gregg et al.


Role of Secondary Sensory Cortices in Emotional Memory Storage and Retrieval in Rats
T. Sacco and B. Sacchetti

Sex-Specific Parent-of-Origin Allelic Expression in the Mouse Brain
C. Gregg et al.

Quantifying E. coli Proteome and Transcriptome with Single-Molecule Sensitivity in Single Cells
Y. Taniguchi et al. 


Nature
Epigenetic memory in induced pluripotent stem cells
K. Kim et al.


The Amphimedon queenslandica genome and the evolution of animal
complexity.
Mansi Srivastava et al.



Regulation of parkinsonian motor behaviours by optogenetic control
of basal ganglia circuitry
Alexxai V. Kravitz et al.



Neuron
Broadly Tuned Response Properties of Diverse Inhibitory Neuron Subtypes in Mouse Visual Cortex
A.M. Kerlin, M.L. Andermann, V.K. Berezovskii, and R.C. Reid



Targeting Single Neuronal Networks for Gene Expression and Cell Labeling In Vivo
J.H. Marshel, T. Mori, K.J. Nielsen, and E.M. Callaway



A Conserved Switch in Sensory Processing Prepares Developing Neocortex for Vision
M.T. Colonnese, A. Kaminska, M. Minlebaev, M. Milh, B. Bloem, S. Lescure, G. Moriette, C. Chiron, Y. Ben-Ari, and R. Khazipov



Nature Neuroscience
Parallel processing of visual space by neighboring neurons in mouse
visual cortex
Spencer L Smith and Michael Hausser



Grid cells in pre- and parasubiculum
Charlotte N Boccara, Francesca Sargolini, Veslemoy Hult Thoresen,
Trygve Solstad, Menno P Witter, Edvard I Moser and May-Britt Moser

The reorganization and reactivation of hippocampal maps predict
spatial memory performance
David Dupret, Joseph O'Neill, Barty Pleydell-Bouverie and Jozsef
Csicsvari



A light-gated, potassium-selective glutamate receptor for the optical
inhibition of neuronal firing
Harald Janovjak, Stephanie Szobota, Claire Wyart, Dirk Trauner and
Ehud Y Isacoff

9月も半ばを過ぎましたが。。。

9/2-4の間、神戸で学会に参加して、今やっている研究のポスター発表をしました。なかなか好評で、有用なフィードバックも得られたので、ずいぶんと励みになりました。

それから9/8に研究所内であった器楽研究会のコンサートで、ヘンデルのリコーダーソナタを演奏しました。演奏は自分でも満足のいく出来だったのですが、自分の演奏でお客さんに喜んでもらえるというのはいいですね。私にとっては人前で楽器を演奏するのも、研究発表をするのも、根っこにあるのは同じ表現の欲求であり技術です。

2010年8月29日日曜日

秋の気配

夏バテ、というか夏風邪でしばらく調子を崩していました。でも、もう大丈夫です。コーヒーとビールがうまい、と思えることは、すなわち「健康」だということです。

カナダからのインターンの学生が帰国し、来週の学会までの短い期間、自分の実験に専念することができます。実験はしばらくうまくいってなかったんだけど、こんなふうに続けているうちに少しづづ勘がつかめてきてる気はします。

「勘がつかめる」ということは、つまり「自分で自分のやっていることがわかる」ということです。なんだかバカにしているようだけど、実は自分で自分のやっていることを理解している研究者は、あまり多くはありません。ともかく、問題は解決に近づいているという実感はあります。

2010年8月8日日曜日

「英語公用語化」に思う

楽天とユニクロが英語を社内公用語にすると発表して、実際に楽天の三木谷さんは記者会見での決算発表を英語で行ったそうな。

グローバル化というと聞こえはいいけど、日本人同士が英語でコミュニケーションするのって実は有害だと思うんですよね。日本人同士の間でしか通じない奇妙な英語が身についてしまったり、言いたいことが言えなくて黙ってしまったり、はたまた間違った内容が他人に伝達されてしまったりしてしまうおそれがある。

私は基本的に職場では日本人相手には日本語、日本語が話せない相手には英語と使い分けています。言葉の機能をどうとらえるかだと思うけど、個人的意見としては「相手とのコミュニケーションで誤解を招く可能性が一番低い言語を使う」ことが重要だと思うな。

ま、上の太字の部分は一応「母語によるコミュニケーションでも誤解は起こりうる」ってことが前提になっているんですが、とにかく「自分の使っている道具が自分で信頼できる」ってことが何よりも大事です。

母語と第二言語の使い分けって、ある意味自分の利き手と似てますよね。大ざっぱな動作なら利き手じゃなくてもできるかもしれないけど、正確な動作、微妙な動作はやはり利き手じゃないと難しい気がします。

世界と戦う

先週研究所を訪れたアメリカ在住某日本人若手研究者の方と会ってお話する機会がありました。

この方は近々アメリカの大学で独立して研究室をもたれるのですが、このような人と話すと、やはり自分はこのままではいけないな、世界のトップレベルを相手に戦うには(なんだか安藤忠雄さんのようですが・・・)もっと力をつけないといけないな、という気持ちにさせられます。

日本にしばらくいると、そういうちょっと闘争的な向上心というか、自分の限界を打ち破るためのエネルギーのようなものを忘れがちになるんだけど、これではいけません。まだまだ小さくまとまらずにがんばりたいと思います。

虚空の芸術

最近あまり更新していなくてすみません。

昨日、妻と家の近くの戸田橋花火大会に行ってきました。

荒川の土手の有料席で見たんですが、頭上で炸裂する尺玉の迫力はすごい。花火が見上げる空一面に広がって、これはもう空中の芸術です。

私の「研究者になっていなかったらやりたかった職業リスト」というものの3位くらいに、にわかに「花火師」がランクインされそうです。(ちなみに1位2位はパン屋と花屋)

それと最近はツタヤでレンタルコミックを借りて読んでいます。お気に入りは、宇宙飛行士を目指す兄を描いた『宇宙兄弟』と、山岳救助を題材にした『岳』です。どうも私は「命をかけた特殊職業のドラマ」みたいなものが好きみたいですね。研究者じゃなかったら宇宙飛行士か山岳救助隊になりたいかというのは、ちょっと微妙なところです。

2010年7月26日月曜日

青春の終わり2

京大名誉教授で数学者の森毅さんが亡くなりましたな。高校生のときはずいぶん彼の本を読んで、私が京大をめざす一つのきっかけになった人です。

実際は私の入学と入れ違いに定年退官されてしまいましたが、大学入学後に読みあさった寺山修司とともに、私の20歳前後の当時のものの見方・考え方に非常に大きな影響を与えた人と言えましょう。先日のつかこうへい氏死去のニュースからまだ間もないですが、なんだかホント立て続けに、私にとって一つの時代が過ぎ去ったような気がします。

2010年7月25日日曜日

論文7/25/10

Cell
Discovery of a Proneurogenic, Neuroprotective Chemical
A.A. Pieper, S. Xie, E. Capota, S.J. Estill, J. Zhong, J.M. Long, G.L. Becker, P. Huntington, S.E. Goldman, C.-H. Shen, M. Capota, J.K. Britt, T. Kotti, K. Ure, D.J. Brat, N.S. Williams, K.S. MacMillan, J. Naidoo, L. Melito, J. Hsieh, J. De Brabander, J.M. Ready, and S.L. McKnight


最近のCellにでる仕事ってどうなんだろ。




J.Neurosci
Imaging Living Synapses at the Nanoscale by STED Microscopy
U. Valentin Nagerl and Tobias Bonhoeffer



PNAS



Optical activation of lateral amygdala pyramidal cells instructs associative fear learning



Joshua P. Johansen, Hiroki Hamanaka, Marie H. Monfils, Rudy Behnia, Karl Deisseroth, Hugh T. Blair, and Joseph E. LeDoux

Science
Integrative Modeling Defines the Nova Splicing-Regulatory Network and Its Combinatorial Controls
C. Zhang et al.
Dnmt3a-Dependent Nonpromoter DNA Methylation Facilitates Transcription of Neurogenic Genes
H. Wu et al.


nature
The genome-wide structure of the Jewish people
Doron M. Behar et al.

ところで故意か故意でないかはわかりませんが、若い研究者がnatureやscienceに論文を出して、職や賞を得た後に数年後にこっそりretractionというケースを少なからず見かける気がします。ちょっとびっくりですね。

2010年7月13日火曜日

青春の終わり

 劇作家のつかこうへいさんが肺ガンのために亡くなりました。思えば、高3の秋に学校をサボって銀座セゾン劇場に見にいった彼の『飛龍伝’90ー殺戮の秋』は、私の演劇体験の原点となる強烈な体験でした。あれがなかったら京都で演劇もしなかっただろうな。今でもときどき(特に妻との会話で)飛び出す、私のいわゆる「劇部口調」(=デタラメなことを、もってまわった言い回しで話すこと)にも多大な影響を及ぼしています。

謹んでご冥福をお祈りします。

2010年7月12日月曜日

自然に学ぶ

私のリコーダーの先生が以前だしたクヴァンツの無伴奏小品集のCDを銀座の山野楽器で見つけたので買いました。自分の先生だから言うわけではないのですが、リコーダー1本でここまで表現できるのはすごいですね。実はクヴァンツってバッハと並ぶくらい深遠な音楽だったのだと再発見。もはや小宇宙です。私もこんなふうに演奏できるようになりたいです。

私の座右の一冊、というわけではありませんが、岩波文庫の『ロダンの言葉』は、もうずいぶん前からときどきページをめくるたびに新たな発見をする一冊です。ロダンの彫刻に関する考え方は自然科学者のそれと通じるものがありますね。こういうことを議論できる生命科学者が他にも近くにいればいいのですが、私は未だお目にかかったことはありません。

2010年7月7日水曜日

論文7/7/10


PNAS
Metabolic cost as a unifying principle governing neuronal biophysics
Andrea Hasenstaub, Stephani Otte, Edward Callaway, and Terrence J. Sejnowski


Science
Creation of a Bacterial Cell Controlled by a Chemically Synthesized Genome 
D. G. Gibson et al. 



Genetic Evidence for High-Altitude Adaptation in Tibet
T. S. Simonson 
et al.

Sequencing of 50 Human Exomes Reveals Adaptation to High Altitude
X. Yi 
et al.


Development of the Hippocampal Cognitive Map in Preweanling Rats
T. J. Wills 
et al.

Development of the Spatial Representation System in the Rat
R. F. Langston 
et al.

Nature
The male mouse pheromone ESP1 enhances female sexual receptive
behaviour through a specific vomeronasal receptor
Sachiko Haga et al.

Sensitivity to perturbations in vivo implies high noise and suggests
rate coding in cortex
Michael London et al.



PLoS Computational Biology
Maturation of GABAergic Inhibition Promotes Strengthening of Temporally Coherent Inputs among Convergent Pathways
Sandra J. Kuhlman, Jiangteng Lu, Matthew S. Lazarus, Z. Josh Huang